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【インタビュー 神山安奈】「自分に嘘をつかない」選択が、美容師としての喜びを教えてくれた。

  • 4 日前
  • 読了時間: 9分

更新日:3 日前

PROFILE


神山 安奈(Anna Kamiyama)

Sharesalon Nora 本店


栃木県さくら市出身、早稲田美容専門学校卒 。

地元サロンの店長職を経て、「技術のすべてに責任を持ち、自分の手でこだわりたい」との想いからフリーランスへと転身 。自身の経験を活かし、美容室が苦手な方にも寄り添う「美容師以上、友達未満」の心地よい距離感を大切にしている 。独自の「美髪矯正」で顧客の日常を楽に美しく変えることを追求し、仕事も趣味の吹奏楽も諦めない「自分に嘘をつかない」自立した生き方を体現する 。



【対談】フリーランス美容師:神山安奈 × インタビュアー:床井哲也


■始まりはSNS。「かっこいい!」という直感に導かれて

床井: 今日はよろしくお願いします。まずは、神山さんが美容師という職業を選んだ原点から詳しく聞かせてください。


神山: 実は、進路を決めたのは高校3年生の夏という、本当にギリギリのタイミングでした 。それまでは、実家が飲食店を営んでいたこともあり、飲食か、あるいはずっと続けてきた吹奏楽の道に進むのかなとぼんやり考えていたんです 。


床井: そこからなぜ美容師に?


神山: 当時、TwitterなどのSNSで美容師さんのアカウントをよく目にしていたんです。ヘアスタイルだけじゃなく、ファッションや仕事に対する熱いマインドを発信している姿を見て、「かっこいいな!」「こんなキラキラした気持ちで仕事ができるんだ」と、直感的に惹かれたのがきっかけでした 。


床井: 専門学校は都内(早稲田)へ進学されましたよね。栃木からの通学は大変だったのでは?


神山: さくら市から池袋を経由して片道2時間半かけていました 。それでも実家から通ったのは、大好きな吹奏楽を続けたかったのと、金銭的な負担を抑えたいという思いがあったからです 。今振り返ると、その頃から「やりたいことは諦めない」という意地があったのかもしれません(笑) 。


(↓吹奏楽の画像)


■「技術」へのこだわりと、組織の中での葛藤

床井: 地元のサロンでキャリアをスタートさせ、店長も経験されました。フリーランスを意識し始めたのはいつ頃ですか?


神山: 具体的に考え始めたのはここ1、2年ですが、実はシェアサロンの存在自体はアシスタントの頃から知っていました 。キャリアを積む中で、自分の中で「どうしても譲れないこだわり」が明確になってきたんです 。


床井: それは具体的にどういったことでしょう。


神山: 一番は、出来る限り自分で責任を持って担当したいという「技術」への想いです 。組織にいると、どうしても効率を求められ、アシスタントに任せなければならない場面が出てきます。でも私は「カラーの塗り一つとっても、自分でこだわりたい」というタイプで 。お客様に対しても、設備や薬剤の面で「もっとこうしてあげたいのに」という後ろめたい気持ちを抱えたくなかったんです 。


床井: 店長としてチームをまとめる立場ならではの、教育やマネジメントの悩みも深かったのではないですか?


神山: 本当にそうですね。かつて自分が新人の頃は、周りの先輩たちも高い志を持って練習に励んでいて、自分もそこについていきたいという環境が当たり前でした 。でも、いざ自分が教える側や店長という立場になると、必ずしも全員が同じ熱量で美容師という仕事に向き合っているわけではない、という現実に直面したんです 。


床井: モチベーションの「温度差」は、多くの管理職が抱える悩みですよね。


神山: はい。自分自身が「もっとこうしたい」という目標を持っていても、それを周囲に強要することはできません 。スタッフの士気を高めようと試行錯誤しましたが、教育を通じて誰かの意識を変えることの難しさを痛感しました 。自分のこだわりが強い分、誰かにお願いして自分の思い通りにならないことが、当時は大きなストレスになっていたんだと思います 。


床井: そこからフリーランスへの転身を決め、一番の変化は何でしたか?


神山: 一言で言えば、抱えていた悩みがすべて「解決」しました 。フリーランスは、自分の努力、薬剤の選定、そして技術のクオリティまで、すべてが自己責任の世界です。誰かのモチベーションに左右されるのではなく、自分がやりたいことに100%のエネルギーを注げる。その「全責任を自分で負う」という潔い環境が、私にとっては大きな解放感に繋がりました 。



■「やりたくてここにいる人」の熱気に救われて

床井: 実際にシェアサロン「Nora」に移ってみて、心境の変化はありましたか?


神山: 本当に、心持ちがガラッと変わりました。一番の驚きは、ここにいる皆さんが「やらされている仕事」ではなく、自らの目的を持って主体的にこの場所を選んでいるという、ポジティブなエネルギーに溢れていることです 。


床井: 組織の中にいた時とは、やはり「空気感」が違いますか。


神山: 全然違いますね。以前は組織の一員として、自分自身の抱く理想と周囲との「仕事に対する温度差」に、一人で悩んでしまう場面もありました 。Noraに移って最初の一週間くらいで、「あ、ここは美容師をやりたくて来ている人しかいないんだ」と気づいたんです 。今は、自立したプロフェッショナルの方々に囲まれて仕事をすることで、自分がいかに周囲の環境や空気感から刺激を受け、支えられているのかを改めて実感しています 。


床井: 自立したプロの集まりだからこその、心地よい距離感がありますよね。


神山: はい。「独立して自分の店を出す」となったら、一人でお店に立つことになって孤独感を感じるだろうな……と思っていたのですが、ここは物理的に誰かがそばにいて、適度な距離感で会話も生まれる。だから、フリーランスになることへの孤独感や不安は全くありませんでした。 以前は知らず知らずのうちに周囲のネガティブな感情に影響されてしまう感覚がありましたが、今はセット面から聞こえてくる会話にマイナスなものがない。それが本当に嬉しいです。


床井: その充実感は、お客様にも伝わっているんでしょうね。


神山: そうみたいです。以前の店舗から担当させていただいているお客様に、「今、とても楽しそうですね」と言っていただけた時は本当に嬉しかったです 。自分では必死なつもりでも、周りから見れば表情が明るくなったのは一目瞭然だったようで。自分の選択に自信を持つことができ、今まで以上にお客様一人ひとりに集中して向き合えるようになりました


■「美容師以上、友達未満」の理想と、最新技術への挑戦

床井: 接客において、神山さんが大切にしている「距離感」について教えてください。


神山: 私は元々、クラスの隅にいるような、いわゆる「陽キャ・陰キャ」で言えば間違いなく後者の、極度の人見知りだったんです 。自分自身が慣れるまでにすごく時間がかかるタイプでした。だからこそ、お話しが苦手なお客様の気持ちが、痛いほどよく分かります 。

床井: その経験があるからこそ、お客様に寄り添えるんですね。


神山: はい。無理に明るく振る舞って距離を詰めようとするのではなく、お客様のペースに合わせて、少しずつ心の扉を開いてもらえるような信頼関係を築いていきたいと思っています 。私の理想は「美容師以上、友達未満」という関係です 。悩み事も何気ない話も本音で言い合えるけれど、プロとしてしっかり頼ってもらえる。そんな心地よい距離感でいられたら嬉しいですね 。

床井: 技術面についても伺いたいのですが、今一番お客様に届けたい「価値」は何ですか?


神山: 現在、特に力を入れているのが「美髪矯正」です 。これは髪質改善のケア効果と、縮毛矯正の美しさを融合させたような技術です 。例えば酸性ストレートでは伸ばしきれなかったり、キープ力が物足りなかったりした部分も、この技術なら解決できる。乾かしただけで驚くほどツヤツヤ、サラサラになる感動をぜひ味わっていただきたいです 。

床井: 栃木ではまだ導入している方が少ない技術ですよね。


神山: そうですね 。技術が進化し続ける中で、お客様に「とにかく楽をしてほしい」「自分の髪をもっと好きになってほしい」という想いが強くあります 。そのために、休みの日にセミナーへ行ったり、日々ケミカルの知識をアップデートしたりすることは全く苦になりません 。自分の提供する技術によって、お客様の日常が劇的に変わる。それが、今の私にとって最大のやりがいです 。


■何かを理由に、やりたいことを諦めないでほしい

床井: 最後に、かつての神山さんのように新しい一歩を踏み出そうか悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。


神山: 私の場合、「フリーランスになりたい」という前向きな理由よりも、当時は「もう今の環境を変えなきゃ」という切実な思いの方が強かったんです 。でも実際に飛び込んでみて確信したのは、「自分で薬剤を選びたい」「メニューも自分で決めてお客様に提供したい」という強いこだわりがある人にとって、これ以上の環境はないということです 。

床井: 趣味である吹奏楽との両立も、大きなテーマでしたよね。


神山: 本当にそうです 。周りの吹奏楽仲間には、「土日が休めないから」という理由で大好きな音楽を辞めてしまう方がたくさんいました 。私はそれがどうしても嫌だったんです 。今の環境なら、「やりたいことが2つある」という状態でも、どちらかを諦めずに両立させることができます 。「本当はどちらも手放したくない」と心の中で願っている方にも、何かを理由に自分の「好き」を諦めないでほしいなと心から思います 。

床井: 「自分に嘘をつかない」選択が、結果としてお客様への最高のパフォーマンスに繋がっているんですね。


神山: そうですね。以前、尊敬する先輩美容師から「吹奏楽だけは絶対に辞めるなよ」と言われたんです。 今、その約束をしっかり守れていることが、過去の自分に嘘をついていないという自信に繋がっています。

床井: これからの目標についても聞かせてください。


神山: まずは、過去の最高売上を更新することです 。昨年12月の手応えで、理論上はいけるという確信が持てました 。それと同時に、税金のことや世の中の仕組みなど、一人の大人として知るべきことをちゃんと学んでいきたいですね 。仕事のレベルも休日の質も自分自身で高めていける、そんな自立した美容師としてこれからも成長し続けたいです 。


【編集後記】

自身の繊細な感性と、芯の強さを併せ持つ神山さん。インタビューを通じて感じたのは、彼女の「誠実さ」でした。自分自身に、そして目の前のお客様に誠実であるために選んだフリーランスという道。その先にある彼女の新しいステージが、今から楽しみでなりません。


※2026年2月時点

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トコイ テツヤ

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宇都宮で正社員サロン・フリーランスシェアサロンを複数店舗を経営するオーナーが、美容室の教育や働き方の矛盾など、業界のタブーに切り込む本音のブログ

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