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これからの『美容室の教育』はどこへ向かうのか?

  • 執筆者の写真: 床井哲也
    床井哲也
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

更新日:2 時間前

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美容室の「教育」は、もう終わったのかもしれない。



最近、オーナー仲間と集まると必ずと言っていいほど話題に上がるのが「教育」の難しさです。


「今の若い子は、厳しくするとすぐ辞めてしまう」

「かと言って、優しく丁寧に教えてもなかなか育たない」

「苦労して採用し、時間をかけて育てても、デビュー直前に辞めていく……」

そんな悩みを聞くたびに、私は心のどこかでこう思ってしまうのです。


「もしかしたら、今の時代に『店が人を育てる』ということ自体、もう限界が来ているんじゃないか?」と。


今日は、少し冷たく聞こえるかもしれないけれど、これからの美容室の教育における「リアル」について書いてみたいと思います。


技術は「盗むもの」から「拾うもの」になった


昔は、技術というのは店に属さなければ手に入らない「秘伝のタレ」のようなものでした。


先輩のカットを後ろから必死に見て盗んだり、営業後に終電まで残って練習を見てもらったり。


店に居続けること自体が、学ぶための唯一の手段だったわけです。


でも、今はどうでしょうか。


スマホを開けば、YouTubeでトップスタイリストが技術を惜しみなく公開しています。


オンラインサロンに入れば、最新の薬剤の配合も、カウンセリングのコツも、すべて画面越しに手に入ります。


つまり、技術を学ぶための「情報の独占」が崩壊したんです。


そうなると、「技術を教えてやるから、店に尽くせ」という旧来の師弟関係のようなモデルは、もう通用しなくなったのです。


「教えてくれないからできない」という罠


ここで一つ、残酷な事実があります。


情報がどこでも手に入るようになった結果、教育の格差は「店のカリキュラムの良し悪し」ではなく、「個人のマインドセット」だけで決まるようになりました。


ホリエモンも言っていました。


「これからはモチベーション格差の時代だ」と。



厳しい言い方をすれば、

「店が教えてくれないから育たない」と言っているうちは、おそらく一生プロとしては大成することは無いでしょう。


なぜなら、今の時代、上手くなるためのリソースはそこら中に落ちているからです。



それを自ら拾いに行き、自分の頭で考え、自分の手を動かす。


その「自立心」がない人に、いくら高額な講習や丁寧な教育を施しても、それはただの「強制」になってしまいます。


オーナーの仕事は「先生」ではない


じゃあ、店側は何もしなくていいのか?というと、そうではありません。


これからの経営者の役割は「先生」として技術を教えることではなく、環境作りに注力することが大切な気がしています。

「この環境にいたら、成長せざるを得ない」という環境を作ることです


手取り足取り教えるのをやめる。


その代わりに、

  • プロの仕事を間近で見られる環境を作る

  • 自分で試行錯誤できる時間と場所を用意する

  • 「自立していることがカッコいい」という空気感を作る


私がシェアサロン(Nora)を運営している理由も、ここにあります。


ここは、誰かに育ててもらう場所ではありません。自分の腕一本で稼ぎ、お客様に選ばれる責任を背負う場所です。


皮肉なことに、「誰も教えてくれない、自分の責任でやるしかない」という環境に身を置いた時が、美容師が最も爆発的に成長する瞬間だったりするのです。




「育ててもらう」を卒業しよう



もし、あなたが今「もっと教育がしっかりしている店に行けば、自分は変われるはずだ」と思っているなら、一度立ち止まって考えてみてください。


これからの時代、本当の意味であなたを育ててくれるのは、オーナーでも先輩でもありません。「自ら学びに行くという、あなた自身の覚悟」だけです。



店は、あなたのための「踏み台」でいい。


こんな事をいうと、他の美容室オーナーさんからお叱りを頂くかもしれませんが、私はそう思っています。


Noraには「やらされている美容師」は一人もいません。

なぜならば、誰にも強制されないから、やらなくても良いんです。


自立したプロたちが、誰にも縛られずに自分の可能性を試せる「最高の練習場」であり、「最高の成長の場」です。



「育ててもらう」「やらされている」を卒業した人から、本当のプロの美容師人生が始まるのだと、私は信じています。



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トコイ テツヤ

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栃木県宇都宮市で美容師しながら美容室を経営しています。

美容師の目線、経営者の目線から「ゆる~く」思ったことを書いています。​​​

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