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「引き抜きはやめてください」――スマホが震えた、ある日の出来事。

  • 執筆者の写真: 床井哲也
    床井哲也
  • 4 日前
  • 読了時間: 4分

更新日:2 日前


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こんにちは。


シェアサロンを運営していると、たまに「おっと……」と心臓がキュッとなるような出来事が起こります。


今日は、先日私のインスタに届いた、ちょっと刺激的なDM(ダイレクトメッセージ)のお話をさせてください。


そのメッセージには、こう書かれていました。


「以前うちの〇〇さんを引き抜きしましたよね?今後、うちの系列サロンには出入りしないでください」
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画面を見た瞬間、実はめちゃくちゃ凹みました(笑)。


シェアサロンを立ち上げる時から、「いつか、こんな風に思われることもあるだろうな」と覚悟はしていたんです。でも、いざ真っ直ぐな言葉でぶつけられると、やっぱりくるものがありますね。


そこで今日は、私の「本音のスタンス」をこの場を借りてお話しさせてください。



「同じ経営者だからこそ」絶対に引き抜きをしない


まず、はっきりとお伝えしたいことがあります。


私はこれまで一度も、他店の美容師を引き抜きしたことはありません。そして、これからも絶対にしません。


Noraで働いているフリーランス美容師さんの中には、昔からの知り合いや、知り合いのサロンにいた方もいます。でも、私から誘ったことは、ただの一度もありません。


みんな、自分で問合せをして、自分の足で会いに来てくれた方ばかりです。



なぜ、そこまで頑なに「誘わない」のか。


それは私自身が、宇都宮で美容室を経営し、今も現場に立つ現役の美容師だからです。


スタッフ一人をゼロから育て上げるのに、どれだけの時間と愛情、そしてコストがかかるか。 夜遅くまでの練習に付き添い、共に成長を喜んだ日々がどれほど尊いものか。


その重みを痛いほど知っているからこそ、他店の大切な宝物を横からさらうような不義理な真似は、同じ経営者として絶対にしないのです。



「美容師を辞める」その前に、受け皿になりたい


一方で、こうも決めています。


「引き抜きはしない。けれど、門前払いはしない。Noraで働きたいと切実に願う人には、どんな状況であれ、まず話を聞く」


これは経営者としての私の「エゴ」かもしれません。それでも譲れないのは、一つの強い想いがあるからです


「せっかく美容師になったんだから、一人も欠けることなく、ずっとこの仕事を続けてほしい」

長時間労働や将来への不安、人間関係。


大好きで始めた仕事なのに、心も体もボロボロになり「もう美容師をやめるしかない」と追い詰められる仲間を、これまで嫌というほど見てきました。


そんな時、もし「シェアサロン」という選択肢があれば、その才能を埋もれさせずに済むかもしれない。


Noraが、美容師という職業を諦める直前の「最後の砦(セーフティネット)」になれたら。そう願っています。




卒業は「裏切り」ではなく、業界への「貢献」へ



美容業界には、古くからの慣習があります。 長年貢献した店を離れる際、「裏切り者」のように扱われたり、お客様への退社の挨拶すら許されなかったりするケースが今もゼロではありません。


もちろん、辞める側にも大きな責任があります。

お世話になったオーナーや残るスタッフに対し、誠心誠意「スジ」を通すこと。円満な引き継ぎをすること。それはプロとして最低限の礼儀です。


実際、Noraへの移籍を相談された際、私はこう伝えます。


「今のサロンを、しっかり感謝して卒業してきてください。そうでなければ、新しい場所でも成功しないと思います」と。


そうして「正しく」卒業した仲間は、新しいステージで輝きます。


Noraではオープンから4年間で、ここからさらに羽ばたき、自分のお店を持った仲間が既に9名います。


彼らが独立する時、寂しさはありますが、それ以上に誇らしい気持ちでいっぱいです。


開店準備を手伝ったり、物件のアドバイスをしたり。

今でも一緒に忘年会をしたり、私が彼らの店へ髪を切りに行ったりすることもあります。


そんな「辞めた後も笑い合える関係」が宇都宮の美容業界に広がっていくこと。


それこそが、これからの令和の時代にふさわしい、健全な業界の姿ではないでしょうか。



誠実に、真っ直ぐ向き合えば、想いは届く


さて、冒頭の「刺激的なDM」の続きですが……。


私が誠実に返信したところ、後日こんなメッセージが返ってきました。


「こちらの思い違いでしたか。誤解とはいえ失礼な対応、申し訳ございませんでした」

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……ホッとしました。


最後は、「宇都宮の美容業界を盛り上げましょう!」とエールを送って終えることができました。


やはり、誠実に、真っ直ぐに向き合えば、必ず伝わる。 改めてそう実感した出来事でした。


これからも私は、宇都宮の美容師さんたちが、不安や不満なく、自由に楽しく、そして何より「誇り」を持って働ける場所を守り続けていきます。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!



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トコイ テツヤ

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栃木県宇都宮市で美容師しながら美容室を経営しています。

美容師の目線、経営者の目線から「ゆる~く」思ったことを書いています。​​​

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